30.June.2021

Bomfunk MCの『Freestyler』のブレイクビーツ

ソウル グループ、The Winstonsの1969年のシングル『Amen, Brother』。すべてはそこから始まったと言われている。Gregory Colemanが演奏する4バー ドラムのブレイクは7秒続く。このビートは「アーメン ブレイク」として世に知られているが、James Brownの『Funky Drummer』と並んで、あらゆる時代のヒップホップとエレクトロニック ダンス ミュージック(EDM)で最も多くサンプリングされた曲の1つだ。これらの有名なドラムのビートからは、いかにしてブレイクビーツというジャンル名が確立したかがわかる。ブレイクビーツの名前は、繰り返しが多く、シンコペーションも織り交ぜられるビートの予測不可能さと「破壊的」なスタイルに由来するという説もある。というのも、80年代にデジタル技術に移行する前、初期のヒップホップ アーティストは、ターンテーブルを使ったり、アナログ テープを切り貼りしたりすることによって、ビニール レコードをループさせていたからだ。


Bombfunk MCの『Freestyler』(1999年のオリジナル動画)

ブレイクビーツは、世界中のアーティストに幅広く、時に驚くような影響を与えてきた。フィンランド出身のヒップホップの色濃いEDMグループ、Bomfunk MCは、1999年のデビュー作『In Stereo』収録のブレイクビーツ シングル『Freestyler』で、2000年に世界10カ国以上のチャートでトップに躍り出た。多くのブレイクビーツは、高速かつダンス向きで、110から150のBPM(ビート/分)を持つ。『Freestyler』も同じく高速で、BPMは163だ。ブレイクビーツの様式に従い、シンセとサンプラーで主に構成されるが、『Freestyler』の際立っている点は、イントロで1回だけ演奏されるブルースっぽさのあるスライドギターのリフだ。EDMの常道を外れたチョイスであり、このトラックの特徴でもある。(そのスライドギターもまたサンプルになっている!)

他のアーティストの場合でも、オリジナル アーティストのヒット曲を再解釈したり、再収録したりするのは、それほどおかしなことではないが、『Freestyler』はその象徴的な動画により、他にはないリメイクとなった。2000年の魅力的なオリジナルが、ドレッドヘアのティーンエイジ モデルにしてミュージシャンのMarlo Snellmanをスターへと押し上げた。ミニディスク プレーヤーで、人々の時間の流れを操れることに気づいた少年の役柄だ。2019年のリメイクでは、主役が女性(ダンサーのMilica Bajčetić)になり、明らかに時代遅れなミュージック プレーヤーがスマートフォンに置き換わっている(この動画は携帯電話会社の宣伝でもある)。Bomfunk MCも20年越しに、かつての役柄で登場している。


Bomfunk MCの『Freestyler』(2019年のリメイク)

2つの動画は、時代を超えたブレイクビーツの影響力を示すと同時に、魅力的なほどシンプルで無垢な世界を見せてくれる。ノスタルジックなファンは、世紀の変わり目を映すこのタイムカプセルには、粗悪な社会やドラッグ、暴力の表現が見られないことに気づいた。むしろ、2つの動画には、人々を勇気づけるテーマが取り入れられていて、この世界における音楽の力が力強く訴えられている。(※各リンクから外部の英語ウェブサイトに移動します。)

Leila Abdul-Rauf、カリフォルニア州オークランドを拠点とするマルチプレイヤー、作曲家。メタルバンドのVastumHammers of Misfortune、 エセリアル ポストパンク バンドTerebellumでギタリスト兼ボーカリストを務めている。また、自身の名義と、エレクトロニック トリオIonophore、シンセフォーク デュオFyrhtuで環境音楽の作曲・制作も行っている。各国でツアーも実施しており、余暇にはギターとボーカルの個人インストラクターをしている。

Amen break sample image」(著作者:Nrgiza)はパブリック ドメインです。

この曲やその他たくさんの曲を学べる! いますぐRocksmith+を試して音楽の旅をさらに進めよう!

ソーシャルにシェア

無料

学習ガイド

ガイドを見る