12.June.2021

ロック エン エスパニョール:Tequila、Caifanes、Jaguares

スペイン語のロックを意味する「ロック エン エスパニョール」は、英語圏においてスペイン語で歌われるあらゆるロックを指す言葉だ。ハード ロック、ブルース ロック、サイケデリック、オルタナティブなど、ロックにほぼ無限のサブジャンルがあるように、ロック エン エスパニョールもまた変化に富んでいる。ロック エン エスパニョールは、1950年代の初め、アメリカのロックンロールと同時期に、Elvis Presley、Buddy Holly、Bill Haleyなど、これまた同じミュージシャンたちの影響を受けて誕生した。1958年、ロックンロールの先駆者、Ritchie Valensは、メキシコのフォーク曲『La Bamba』を大衆化 した。その翌年、サクソフォーン奏者のDanny Floresは、The Champsとともに、そのナンバーワンヒット作 『Tequila』 を作曲し、レコーディングした。ロック エン エスパニョールのバンドは、アメリカとイギリスのロックと同じような経緯をたどり、60年代にはブリティッシュ インヴェイジョンを経験し、70年代以降にはサイケデリックとハード ロックが現れた。アメリカン ロックの様式にならうバンドもあったが、その様式にラテンの要素を融合させて、まったく新しいサウンドを作り出すバンドもあった。

70年代半ばから80年代前半にかけてのポストフランコ時代、マドリードに現れた最もポピュラーなバンドの1つが、アルゼンチンとスペインのロッカーが結成した Tequila だ。彼らは、『Matricula de Honor』、『Me Vuelvo Loco』、『Salta!!!』などのヒット曲により、Chuck BerryとRolling Stonesにインスパイアされた現代風のロックンロールとしてのブランドを確立した。1981のヒット曲『Salta!!!』は、ポストパンクっぽさとシンコペーションされたスカのようなビートにより、70年代の愉快で熱狂的なエネルギーを示した。Tequilaは1982に解散したが、2008年にもう10年間再結成され、新旧ファンのためにヒット作を復活させた。

1987年にメキシコ シティで結成された Caifanes は、ニューウェーブ、ゴス、プログレッシブ ロックにラテンスタイルのギターとパーカッションを融合させたユニークなハイブリッドにより、世界的に有名になった。自らKing CrimsonやThe Cureなどの幅広い影響をうたっているが――King CrimsonのAdrian Belewは彼らのサード アルバム『El Silencio』を作り、さらにはゲストとして登場した――Caifanesは十分にオリジナルな存在だ。1990年のヒット曲『La Célula Que Explota(爆発する独房)』をチェックしてみてもらいたい。マリアッチマリアッチスタイルのアコースティック ギター、夢のようなシンセ、そして最後にはクライマックスのトランペット セクションを備えた美しい雰囲気のプログレッシブ ロックだ。

1995年にCaifanesが解散する(2011年に再結成)と、表看板だったカリスマ歌手のSaúl Hernándezは、Caifanesのドラマー、Alfonso Andréとともにすぐさま Jaguares を結成した。バンド名は、Hernandezがジャガーの口の中で歌う夢を見たことに由来する。彼らは、Cafainesと同様に、Pink FloydやU2からの影響をマリアッチのリズムやメキシコのボレロ. と組み合わせた。Jaguaresの『La Célula Que Explota』の2002年のスタジオバージョンは、アコースティック リズムのギターやストリングを取り入れて、曲に絶妙なフレーバーを付け加えている。ステージいっぱいのマリアッチ バンドによるライブ バージョンに対するファンの反応を見てみよう。

Caifanes、Jaguares、Tequilaのようなバンドは、母国で大成功を収めた。しかし、ロック エン エスパニョールのバンドの多くがアメリカではほとんど知られないままだった。それが、インターネット時代になって変わった。世界中にいる新しいファンが彼らの作品を初めて聴いたことで、これらのバンドは大衆の前に再び姿を表したのだ。(※各リンクから外部の英語ウェブサイトに移動します。)

Leila Abdul-Rauf、カリフォルニア州オークランドを拠点とするマルチプレイヤー、作曲家。メタルバンドのVastumHammers of Misfortune、 エセリアル ポストパンク バンドTerebellumでギタリスト兼ボーカリストを務めている。また、自身の名義と、エレクトロニック トリオIonophore、シンセフォーク デュオFyrhtuで環境音楽の作曲・制作も行っている。各国でツアーも実施しており、余暇にはギターとボーカルの個人インストラクターをしている。

「MX TV CAIFANES ZÓCALO」 (著作者:Secretaria de Cultura Ciudad de Mexico)はCC BY-SA 2.0ライセンスのもとで使用を許可されています。

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