女性だけで構成された有名なロックバンド、The
Banglesは1980年代に絶好調を迎え、次から次へとラジオヒットを生み出していた。チャートトッパーをすべて自分たちで書いていたわけではない。彼女たちを成功へと導いたのはPrinceの手になる『Manic
Monday』やSimon and Garfunkelの『Hazy Shade of Winter』だった。だが、Fab Fem
Fourのオリジナル曲もそれらに引けを取らないものだった。大絶賛を得た2つ目のアルバム『Different
Light』によって、このバンドは初期における1960年代のサイケデリックロックなスタイルから方向を転換し、より洗練されたトップ40音楽に変貌を遂げた。1986年のアルバムのオリジナル曲3つを取り上げてみよう。このバンドの印象的かつ多彩な作曲を反映しているにもかかわらず、それにふさわしい愛を受け取ってこなかった曲だ。
1.『Angels Don't Fall in Love』
シンガーギタリストのSusanna HoffsがVicki
Petersonが作詞したこのアップテンポなジャムの特徴となっているのは、Vickiのリードボーカルおよびリードギターと、他の3人のバンドメンバーによるバックボーカルだ。3パートのハーモニーによる陽気なコーラスが、この曲を心から高揚させている。ここで鍵となっているのが、ギターのトレモロ効果と、Vickiが自身のリードで使用するトレモロバーだ。トレモロ効果はギターの音量を変え、微妙に口ごもり鼓動するような音にし、音に広がりと雰囲気を付け加える。ところで、『トレモロバー』というのは誤った名称で、これはボリュームではなくピッチを変えるものだ。しかし、Leo
Fenderが誤ってビブラートバーにこの名前を付けて以来、ギター業界は間違いを修正しておらず、不正確な用語がスタンダードになってしまった(『ワーミーバー』はまだいい)。
2.『Let It Go』
The
Banglesの各メンバーは曲ごとにリードボーカルを代わることもあるが、この曲は珍しく最初から最後まで4人のメンバー全員が一緒に歌っている。このアップビートなDメジャーの曲は、わずか2分半の曲としてはあまりにも多くの要素を含んでいる。リッチなボーカルのハーモニー、The
ByrdsのRoger
McGuinnを思い起こさせるジャグリーなギターリード、1:44におけるシンコペーションのピアノソロなどだ。歌詞は人生にまつわる数多くの試練による困惑と苛立ちを扱っている一方、次のようなメッセージを伝えてもいる。「失ったものを思い出させてくれる夢を再び抱くことは、いつだってできる」
3.『Following』
『Different
Light』で唯一のアコースティックバラッドであり、アルバムに収録されている他のエネルギッシュなロック曲とは好対照を成している。感情的な深みと心を乱す雰囲気を醸し出し、The
Banglesのポップなレパートリーの中では異色である。シンガー兼ベーシスト兼ギタリストであるMichael
Steele(The
Runawaysの創設メンバー)が、豊かなキーボードの音に支えられて、リードボーカルを務め、フォークスタイルのアコースティックギターを奏でている。Michaelのボーカルは半ば歌うようで、半ば喋るような歌い方だ。彼女の歌詞は、恋愛関係が破綻した後の元恋人の嫉妬と執着を語っている。アルバムの締めくくりとして美しく劇的な曲であると言える。(※各リンクから外部の英語ウェブサイトに移動します。)
Leila
Abdul-Rauf、カリフォルニア州オークランドを拠点とするマルチプレイヤー、作曲家。メタルバンドのVastumとHammers
of Misfortune、エセリアル
ポストパンク
バンドTerebellumでギタリスト兼ボーカリストを務めている。また、自身の名義と、エレクトロニック
トリオIonophore、シンセフォーク
デュオFyrhtuで環境音楽の作曲・制作も行っている。各国でツアーも実施しており、余暇にはギターとボーカルの個人インストラクターをしている。
「The Bangles performing at the 2012 Festival of
Friends」(著作者:Tabercil)はCC
BY-SA
3.0ライセンスのもとで使用を許可されています。
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