12.June.2021

Mass Hysteria:人間でもあり、機械でもある

筆者:Leila Abdul-Rauf

ある意味で、ヘビー メタルはそれ自体が機械のようだ。ドラムは容赦なく叩かれ、ディストーション ギターはチェーンソーのようなパワーコードでリフする。一部のバンドは、サンプラー、シンセサイザー、そして(ときに)ドラムマシンを組み合わせることで、クラシック メタルの要素にエレクトロニクスを取り入れ、機械のような側面をさらに強めている。その萌芽となったバンドMinistryとRammsteinが、80年代から90年代にかけて、アメリカとヨーロッパでそれぞれ別々に、インダストリアル メタルとして知られるようになる流れを作った。フランスでは、Mass Hysteria(ライブ ドラマーのRaphael Mercierが所属)が、フランスの音楽チャートで20位となった『Contraddiction』という1999年の画期的なアルバムにより、このジャンルで最も成功したバンドの1つとなった。

Mass Hysteriaは徹頭徹尾メタル バンドであり、ギタリストのYann Heurtaux cites、SlayerのKerry King、MetallicaのJames Hetfieldより主に影響を受け、2009年にはニームにおけるMetallicaの完売御礼ショーに招かれた。だが、ニュー メタル、インダストリアル、ラップなどのさまざまな影響を取り入れたことで、真のエレキ サウンドを手に入れた。Yannとともにギタリストとリズム プレイヤーを務めたErwan Disez(2007年にはNico Sarrouyに代わり、2014年にはFred Duquesneに代わった)はD、C#、またはCのチューニングを好んだ。そして、同国のAqMEのように、ギター ソロは控え、代わりにエレクトロニック サンプラーを使うことを選んでいる。「Mass Hysteriaでは機械が非常に重要な役割を果たしている。SlayerのKerry Kingがソロを行うときには、しばしばワウ[ペダル]を使い、フレーバーにひねりを加えている。俺たちにとって、それと同じなのがサンプルだ」とYannは『Audiofanzine』のインタビューで言っている。素早く激しい『P4』はこのやり方の好個の例だ。0:33と1:07から始まるサンプルとシンセのパートを聴けば、それらがギター ソロと同じ役割を果たし、別世界のような次元を付け加えていることがわかるだろう。


Mass Hysteriaの『Attracteurs étranges』 -- オープニング リフのトライトーン コードに注目してもらいたい

『Attracteurs étranges』において、YannとErwanのドロップD リフは特に不協和音的で、トライトーンを頻繁に使用している。これにより、断続的なサンプルのあいだで曲に緊張感と混沌を増している。もう1つの力強いダイナミクスの源は、リード シンガーのMouss Kelaiによるラップである。Rage Against the MachineのZack de la Rochaのフランス版と言ったところだ。Moussはコーラスでメロディックな歌い方に切り替え、豊穣なギターのナインス コードとともに歌をさらに高ぶらせ、いかめしいバースとは好対照な柔らかさを出している。

[RS+] [News] Mass Hysteria: Part Human, Part Machine - masshysteria yannfrederick 960
Mass Hysteriaの現在のギタリスト、Yann HeurtauxとFrédéric Duquesne

メタル バンドには通常2人のギタリストがいて、それぞれ別のパートを演奏する。片方がリズムを奏でてもう片方がソロをしてもいいし、ハーモニーでリードしてもいい。Mass Hysteriaは、あえてこれをやらない。「このスタイルでは、ギター パートを2倍にするのが大事なんだ。それに、ギタリストが1人しかいないジャンルでも、スタジオでは2倍にする」とFrédéric Duquesneは説明する。「そうすることで、一種のコーラス[効果]を生み出す。これはギター1つじゃ無理だ。俺たちの仕事はそれを上手くやることさ!」(※各リンクから外部の英語ウェブサイトに移動します。)

Leila Abdul-Rauf、カリフォルニア州オークランドを拠点とするマルチプレイヤー、作曲家。メタルバンドのVastumHammers of Misfortune、エセリアル ポストパンク バンドTerebellumでギタリスト兼ボーカリストを務めている。また、自身の名義と、エレクトロニック トリオIonophore、シンセフォーク デュオFyrhtuで環境音楽の作曲・制作も行っている。各国でツアーも実施しており、余暇にはギターとボーカルの個人インストラクターをしている。

"Mass Hysteria"(著作者:Paul S.)は、CC BY-SA 2.0ライセンスのもと使用を許可されています。

"Yann"(著作者:Paul S.)は、CC BY-SA 2.0ライセンスのもと使用を許可されています。

"Frédéric Duquesne"(著作者:Paul S.)は、CC BY-SA 2.0ライセンスのもと使用を許可されています。

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