2023 May 18

クリエイターインタビュー – ジョン・フライ

5月10日リリースの「The Crew 2 Season 8 Episode 2: USST Next」では、新たなクリエイターコンセプトマシンSpruemeister SM71が登場します。『ザ クルー2』の最新追加コンテンツについて、クリエイターのジョン・フライに詳しく話を聞きました。

[TC2] S8E2 - Creator interview - Image 1

こんにちは、ジョン。プレイヤーの皆さんに簡単な自己紹介をお願いできますか?

呼んでいただきありがとうございます! ビークルデザイナーのジョン・フライです。工業デザイナーとしてデザインの仕事を25年ほどやっています。専門は車ですが、ビデオゲーム、映画、テレビなどで使用する宇宙船や航空機など、その他のデザインに関しても知識の幅を広げてきました。製造されて動き回るものはすべて興味の対象ですね。

自動車デザイナーとしての経歴についてもう少し聞かせてください。

子供の頃から車をスケッチするのが大好きでした。描いていたのはミリタリー系やレースカーが多く、特に興味があったのはその辺りでしたね。5歳ぐらいの頃に刺激的なSF映画が次々公開されると、私の関心は宇宙船を描くことに移りました。そこにレースカーや軍用車両の美的感覚が合わさり、自分のスタイルができあがりましたね。それから映画のデザインプロセスについて調べたり、映画用のデザイン過程を収めたスケッチブックを見たりして、工業デザインというものが、映画や世界のためのデザインをする仕事なのだと理解しました。

私はパサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインに通うことになり、そこで輸送デザインの理学士号を取得しました。その後は航空宇宙産業とビデオゲーム産業を少しずつ経験し、自動車OEMの職に就きました。そのまま自動車会社に数十年勤め、現在は3Dモデラーのチームを指揮しています。おかげで3Dモデリングのスキルも身に着き、今ではクリエイティブにおける自分の専門分野のようになっていますね。指揮しているのは20名ほどのチームで、街で見かけるような製造用の車や、展示用の車を作っています。

[TC2] S8E2 - Creator interview - 2

工業デザイナーを目指すようになったきっかけはなんですか?

幼い頃には本やテレビなどさまざまなものから視覚的影響を受けました。ですが同時に、自分の周りにはデザイン性に乏しい製品があふれていて、そのことに苛立っていました。そうした不満と批評的な視点こそが良い産業デザイナーに不可欠な特性です。何かを目にすると、それをもっと良くしたいという衝動に駆られるのです。テレビのリモコンのボタン配置や、アプリケーションなどのインターフェースのように、もっとロジカルに機能させなければなりません。そしてもう一つ重要なのが見た目を良くすることです。産業デザイナーはものを使いやすくするだけでなく、心地よいビジュアルも追求します。消費者向け製品では非常に重要なことです。自動車や家庭用品は見た目がクールでなければなりません。ビデオゲームの場合、衝突テストなどはもちろん必要ないので、安全性や燃料効率といった機能面の課題は少なくなります。だからその分、ビジュアルに集中してひたすらクールなものを目指せます。デザインの中でも非常に魅力的な領域ですね。

創造のプロセスについてもっと詳しく聞かせてください。

必ず最初にやるのは情報を集めてプロジェクトを理解することです。プロジェクトに存在する制限を確認し、プロジェクトのゴールを確認し、心の中でビジュアル化を開始します。多くの場合、色と基本的な形が思い浮かびますね。そばに紙を1枚用意し、そこにはプロジェクトで達成しなければならない事柄をリスト化しておきます。含めてほしい具体的なアイデアが先方にある場合、大抵は参考画像をもらえます。画像は過去の乗り物であったり、ファッションや建築であったり、最終的なデザインの要素として取り込んでほしいさまざまなものが考えられます。そうした制約、インスピレーション、資料を近くに置いた状態でスケッチを始めます。参照物はそのまま使い過ぎないよう注意し、デザインスケッチのフレーバーとして活用するよう心掛けています。

それから5~8センチ大のサムネイルスケッチを20~45分行います。ライトグレーのマーカーでラフを描いてから普通のボールペンで線画にしていくことが多いですね。そこから先方に対してクリアでしっかりしたものになるよう詰めていきます。クライアントとの話し合いがスムーズになるよう、各スケッチの隣にはアルファベットを振っておきます。こうした初期段階ではたくさんの方向性を提示しておき、そこから気に入ったもの選んでもらって絞り込んでいくのがよいでしょう。「スケッチAとスケッチFの要素が少しずつほしい」という感じで、2つか3つのデザインを融合させることが多いです。それからスケッチに戻りますが、作業はステップを経るごとに少しずつタイトでゆっくりしたものになっていきます。与えられる情報に基づき、より慎重に考えるようになります。行ったり来たりしながら作業を進め、最終版に仕上がるまで詰めていきます。相手に満足してもらえるデザインには、その相手の好みをよく聞くことが不可欠です。

[TC2] S8E2 - Creator interview - 3

『ザ クルー2』のために制作したものを紹介してくれますか?

『ザ クルー2』のプロジェクトにおける制約は、1970年代の古いF1カーにインスパイアされつつも未来的なタッチを加えたAlpha Grand Prixを作ることでした。マシンのサイズといった各種前提事項も存在します。プロジェクトチームからホイールの位置やドライバーの位置などの情報が提供され、基本的にはそれらの項目に従って作業する必要がありました。

このデザインで特徴的なのは運転席が前寄りになっている点で、ドライバーは車体のかなり前方に座る形になり、後方のスペースが大きく確保されています。そのスペースの使い道についてはプロジェクトからの指定はなかったので、運転席と後輪の間に何を詰め込むかを考えるのがとても面白かったです。与えられたインスピレーション資料を参考にし、同様に運転席が前のほうにある1983~1984年辺りのGrand Prixカーも参考にしましたね。あの時代は剥き出しのエンジンが見られるほぼ最後の時期で、ああいう機械的細部を見るのは大好きです。その点も参考にし、運転席の後ろ、エアボックスの後ろにエンジンの上部を露出させることにしました。そのうえでもっとモダンな外装を被せています。より平面的で、ステルス的で、燃えるような見た目のものです。広い表面部もあり、ウェッジ状でシャープな組み合わせになっています。色としては白と蛍光色を使い、真っ黒な部分もあります。どうしてそうなったのか正確なところは覚えていませんが、スケッチの各工程を経てもずっと残っていましたね。ゲーム内の他のものとは違う特徴的なカラーと車にしたかったので、この配色は最初からとても気に入っていました。

そしてビデオゲーム向けのデザインである以上、プレイヤーもまたクライアントであるという意識が重要です。この車はプレイヤーのためのものなので、彼らがそれを使う時にどう見えるかをよく考えます。プレイヤー視点で見栄えがよくなければなりません。なのでリアウィングをカッコよくすることと、ウェッジ状のエアボックスをアイコニックな見た目にすることは強く意識しました。

[TC2] S8E2 - Creator interview - TC2_interview

Ubisoft Ivory Towerとのコラボレーションについて詳しく聞かせてもらえますか?

「アサシン クリード」シリーズをよく知っていたので、Ubisoftからメールが来た時はとても興奮しましたね。なんだろうと思って確認すると、『ザ クルー2』の話でした。それからデザイナー動画シリーズでこれまでに作られたものを見ました。その中に私も知っているYasidがいて、彼の手掛けたF1トラクターを見て「なるほど。これは素晴らしいプロジェクトになるぞ!」と思いました。概要を読むとAlpha Grand Prixカーのことが書かれていたのですが、私はオープンホイールのマシンが好きなのでとても面白そうに感じました。表現力が豊かで、タイヤのついた宇宙船のようなマシンですからね。それからゲームに関する情報も受け取りました。モーターフリックスを通じてストーリーも語られるということで、ただのレースゲームではない内容だとわかり、興味を引かれて参加を決めました。

チームとのやり取りやスケッチの送付はとても上手くいきました。スケッチを送った後でメールを受け取るといつも嬉しい気分になります。次の日に受信ボックスを確認して、相手からの好反応が届いた時ですね。ビデオチャットもしましたが、時差があったにもかかわらず、地球の反対側のチームと作業するのは楽しい経験でした。

[TC2] S8E2 - Creator interview - 4

あなたの作品はどこで見られますか?

頻繁にアップロードしているのはInstagramですかね。@fryewerkにたくさんの作品を投稿しています。それからBehancewww.fryewerk.comもですね。

あなたの車を運転するプレイヤーにメッセージはありますか?

とにかく「ありがとう!」と言いたいです。もちろん私のデザインはゲーム内で一番クールですし、それはこの先も変わらないでしょう! スピードが重視されたマシンですが、積極的に勝負をかけて楽しんでください。勝つためのスタイリッシュなデザインです。見事な走りで私を誇らしい気持ちにさせてください!