16.July.2021

サウンド解説:フェイザー

フェイザーはギターのエフェクターとして最も古くシンプルな部類に属し、そのサウンドも一際異彩を放っている。代表例としては、Radioheadの『Paranoid Android』やEddie Van Halenの『Ain't Talkin' 'Bout Love』(およびVan Halenのデビューアルバムのほとんどの楽曲)が挙げられるだろう。信号を文字通り上下逆さまにすることにより、まるでギターが別次元を旅しているような、SF的響きを生み出す。

浮き沈みする音の波が描かれていく。フェイザー ペダルはギターの音波をコピーして上下を逆さまにするか、「位相を変える」。その後、低周波発振器(LFO)と呼ばれる装置を使い、低いベースから高いトレブルまで、周波数の範囲内でコピー音を前後に揺らす。その結果、「揺れ」や「うねり」のあるサウンドが原音と重なり合い、ときには打ち消し合うこともある。発振の速度を上げると、コピーされた信号が位相を移動し、アンプを回転させたような音になる。その結果、設定された速度でストロークのサイクルを繰り返す、異世界ような響きが生まれる。

[RS+] [News] What's That Sound: Phaser
MXRのPhase 90は、初めて市販されたフェイザー ストンプボックスで、フェイザーのスタンダードを確立した。

エフェクト自体は1960年代からスタジオで使用されていたが、本格的にギターに使用されたのは、MXRが初のペダル製品としてMXR Phase 90を販売した1974年からだ。Phase 90のノブは「速度」の1つだけだったが、後に続くモデルやペダルで多くのバリエーションが増え、マルチ フェイザー、さまざまな周波数ブースト、強度調整などの機能が追加されていった。クラシック ロックのプレイヤーに好まれたエフェクトであることは間違いないが、IncubusのMike Einzigerなどの現代ロッカー(ライブではペダルボードに3つのフェイザーを使用)やWaylon Jenningsなどのクラシック カントリー アーティストの楽曲でも使用されている。クラシック カントリーの『Luckenbach, Texas』で、位相の変わるコードを聴いてみよう。意外なことに、Chet Atkins & Les Paulが1976年にグラミー賞を獲得したアルバム『Chester & Lester』の収録曲『Birth of the Blues』でも、非常にわかりやすいかたちでフェイザーが使われている。

フェイザーはクリーンな信号とオーバードライブされた信号の両方に極めて特徴的な質感を加える。挑戦する場合は、微妙な効果を狙って使用するものではないと理解しておいたほうがいいだろう。低速であっても、非常にはっきりとした効果があらわれる。しかし、異世界へと連れていってくれるような特徴的サウンドは、リードやリズムに注目を集めるのにうってつけだ。シングルノートの速弾きでもコード弾きでも、少し使用するだけで絶大な効果が得られるだろう。フェイザーでソロやコーラスを強調し、一味違う演奏に挑戦してみよう。(※各リンクから外部の英語ウェブサイトに移動します。)

Dan Amrich は、 雑誌『Guitar World』と『Country Guitar』で音楽記者としてのキャリアをスタート。『Princess Leia's Stolen Death Star Plans]( http://bit.ly/PLSDSP)』 の共同制作者であると同時にクリエイターやソングライターの顔を持ち、Hero Falls の市長も務めている。2014年、Ubisoftのサンフランシスコ チームに加わった。

Phase 90s」(著作者:Roadside Guitars)は、CC BY-SA 2.0ライセンスのもと使用を許可されています。

MXR Phase 90」(著作者:zynke)は、CC BY 2.0ライセンスのもと使用を許可されています。

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