2019 May 9

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バランス考察:ヴォーティガン(Year 3: シーズン1)

戦士の皆さん、こんにちは!今回はゲームバランスに関する連載シリーズのYear 3 シーズン1版をお届けしてまいります。この記事では、つい先日終了したシーズンの結果をバトル開発チームが分析し、今後のゲームの方向性について説明します。

本稿では、各ヒーローの勝率と選択頻度に関するデータをコミュニティの皆さんにお届けしましょう。データから得た見解を元に、チームが認識しているバランス問題を分析したり、今後のシーズンでどのように活かしていくかを語ります。
(こちらで提示しているデータの取り扱いに関する詳細はこちらのリンクをご覧ください)

それでは早速データを見ていきましょう!

デュエル – 勝率

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S9_Duel_Win_Top

注: 今回の「バランス考察」に使われているティアリストは「ヴォーティガン」(Year 3シーズン1)中に発表された最終バージョンとなる、2019年3月23日付けのものを使っています。記事内にあるティアリストの画像はすべて、この日のバージョンから取ったものです。

将軍は依然として収集プレイヤーデータの上位にいますが、シーズン中に集中的な弱体化を行った影響もあり、順位は下降しています。ヒーローの特徴にプレイヤーが慣れてきているのも原因の一つと見ていいでしょう。今シーズンの将軍の全体勝率は61%で(前シーズンは67%)、プラチナランク以上では56%でした(前シーズンは61%)。次のシーズンでも、データセットにおける序列は緩やかに下降すると予想され、トーナメント級のデュエルでは、先陣を切るには少々心もとないヒーローとなりそうです。

ウォーロードはロックオン時の立ち回りが改善されたことで、多くのプレイヤーにとって中位レベルの実力を備えるに至りました。クラッシュチャージの威力が著しく低下した影響で、トーナメント級ではティアがSからCにまで落ち込みました。トーナメント級デュエルにおける優位性を欠く現状は残念ではありますが、ロックオフ機能を削除したことで、通常デュエルでの健全性を確保できたと考えています。

ブラックプライアは全3リストにおいて、首位または最上位に登場しています。これは喜ばしい結果です。デュエルのSティアは、高揚感と創造性豊かなプレイが可能となっている証といえ、他のキャラクターにもこうあってほしいものです。今シーズン中にリリースされたパッチで既にダメージ量の減少、スタミナ切れ時のプレッシャー値の低下、防壁スタンスの万能性の下方修正などの軽微な弱体化を実施していますが、キャラクターの優位性を脅かすことなく十分なバランス調整ができたものと見ています。

守護鬼に関しては、ティアリストでのランクアップを確認できませんでした。これは、繰り出す攻撃のほとんどが転がることで回避できてしまうせいでしょう。とはいえ、全体またはプラチナランク以上のチャートを見ると、守護鬼の有用性が非常に高いことがわかります。守護鬼はこれらのプレイヤー群間で、大きく異なる傾向を示します。技術の高いプレイヤーほど、システムが多くの攻撃を安全に無効化してくれることを理解しており、それを上手く利用しています。ここからは、システムに全体的な調整を加えることで、上記の回避手段にリスクを加えることが必要となるでしょう。この調整は守護鬼の攻撃成功率を高めるという従来の方針と一致するため、開発チームでは「YEAR 3: シーズン3」の配信パッチでも重要な補正を実施する予定です。

荒武者でも事情は同じです。熟練プレイヤーは強攻撃フィニッシュの発動を見分けつつ、(フェイントを交えた危険な連続技を食らわないように)回避で距離を取ることで安全に荒武者の攻撃を無効化しています。

Bティア・Cティアは現在、500msの弱攻撃への対応手段が分からない相手に対して、有効な行動を取られるキャラクターによって構成されています。また、全体およびプラチナランク以上のプレイヤーデータからは、彼らが剣聖や大蛇に弱い傾向が読み取れます。興味深いのは、全プレイヤーでは500ms弱攻撃に対する苦戦傾向がすでに現れているのに対し、トーナメント級のプレイヤーはさほど苦労している様子がない点です。そのため、これから反応の余地の少ない攻撃や、反応が不可能な攻撃を多く実装すると、トーナメント級のプレイヤーよりも、全プレイヤーが大きな恩恵を受けることになるでしょうこれは、次のように説明が可能です。現状で高速攻撃をかわせないプレイヤーは、攻撃速度が上がったとしてもそれを避けられない事実は変わりません。逆に言えば、そういう攻撃を熟練プレイヤーに向かって繰り出せるようになり、その攻撃速度によって数発を叩き込むことができれば、今より良い戦い方ができるようになるはずです。

人斬り、ロウブリンガー、レイダーが次のシーズンでどのような結果を出してくれるのかも、興味深いところです(人斬りは実装されたばかりで、他2つのヒーローには改良を加えたため)。

ドミニオン – 勝率

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将軍と野武士は未だSティアに留まっており、新たにがSティアに昇格しました。これら3種のヒーローは集団戦闘で安全に十分なダメージを与えることができ、敵からのパニッシュを受けることは非常にまれです。チーム編成に「ほぼ必須」と評される理由も現在の有効戦術データを見れば納得ですが、チーム構成に幅を持たせるためにも、この3人については能力を下方修正しようと考えています。デュエルのSティアには確かに私たちが意図したとおりの力関係が反映されているのですが、どちらかといえばドミニオンのAティア・Bティアの方が、より健全な友好戦術を形成していると言えるでしょう。

1対1のバトルでは反撃値がたまらなくなる仕様となりましたが、ティアリストの構成に大きな影響はなかったようです。前シーズンと比べ、バーサーカーやコンカラーの順位がわずかに上がっていますが、全体的には各ティアに目立った変化はありません。

アサシンの活躍は、全体的に低調です。剣闘士はリフレックスガード時間が通常より短いのが難点で、反撃値の変更後もティアリストでの順位アップは見られませんでした。

**全体とトップ4%**の勝率は非常に似通ったデータを表しています。最上位を占めるのはまったく同じキャラクターで、その順番が若干異なる程度です。中位や下位ランクで多少キャラクターの入れ替わりがあるものの、全体としては概ね同じ結果が出ています。

荒武者を除き、ティアリストとプレイヤーデータはほぼ連動している印象です。荒武者は極めて異質で、プレイヤーデータではトップにありながら、ティアリストでは最下層にいます。ウォーロードも同様に、プレイヤーデータでは他よりも優れた成績を示しています。対照的にバーサーカーはティアリストよりも、プレイヤーデータで明らかに成績が下がります。

ブリーチ – 勝率

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アサシンは一般的に、ドミニオンとブリーチでパフォーマンスが下がる傾向があります。リフレックスガードを持つアサシンは、ゲームモードに配置される攻撃力の高い槍兵との相性が悪いようです。また、与ダメージとリーチで他のヒーロー劣る傾向があるため、破壊槌の付近やサイドレーン内での戦いを苦手としています。今回のデータセットにおいて、アサシン系として唯一優れた成績を示しているのが女侠で、対槍兵の弱点をレベル2戦技のまきびしで補っていることがその一因と見られます。

ドミニオンとブリーチのプレイヤーデータが示すトップ勝率に大きな違いはありません(女侠は除く)。ドミニオンとブリーチの中位や下位層を同様に見比べても、全体としてある程度似たデータが表れています。

注: 現在、ブリーチにはコミュニティのティアリストが存在しないため、今回のバランス考察には含まれていないことをご了承ください。

選択頻度

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ウォーデンと大蛇は根強い人気を保っています。

剣聖、レイダー、センチュリオンもモードやスキルを問わず、引き続き上位に名を連ねています。

ブラックプライアが新たに選択頻度のランキング上位に入りました。騎士特有の剣と盾という装い、ハービンジャーのイメージ、独特の戦闘能力に憧れを感じて選ぶプレイヤーが多いようです。

勝率や優位性はまだ、選択頻度に大きく影響しない様子がうかがえます。例えば、コンカラーと将軍は高い勝率に反して選択頻度が低いヒーローです。ただしトップ4%のプレイヤー間では、大蛇などのヒーローの選択頻度が低くなるというデータも確認されています。

守護鬼は改良を加えたこともあり、前シーズンまでと比べて今シーズンの選択頻度が各段に高まりました。この傾向が今後も続くのか、一過性のものに過ぎないのかは、非常に興味深いところです。

今後の課題

連続技からの脱出の安全性が高すぎることが問題です。転がって距離を取る、ロックを外す、走って距離を開ける、さらには背後から攻撃など多彩な手段が存在し、しかも多くの場合、攻撃側にはその安全策を阻む術がないのです。そこでシステムに調整を加え、攻撃側が相手の「脱出」を防ぐ手立てをいくつか実装したいと考えています。これは、相手の脱出を受けての反応ではなく、脱出を予期して入力を行うものになるかもしれません。今後も

攻撃面の強化が必要です。これまでの改善でも、ヒーローが戦闘で先手を打てるよう、またチェーンを持続できるようにアビリティを上方修正してきました。しかし、これではまだ不十分です。課題は依然として存在し、MMRが上がるか、ランキング順位が上がるか、トーナメントに参加するようになると、通常攻撃を当てるのが極めて難しくなるでしょう。4対4モードにおける集団戦闘を身近に感じてほしいと思う一方、プレイヤーの皆さんには、攻撃ボタンを押し続けることで、何らかのダメージにつながるという望みも持っていてほしいのです。全体はおろか、トップ4%のデータを見ても明確な問題としては映りませんが、トップレベルではやはり改善が必要です。

まとめ

皆さんには、全プレイヤーデータやプラチナ以上のデータ、上位4%データ、コミュニティティアリストについて、もっとご意見をお寄せいただきたいと思っています。私たちが何かを決断する時は、これらすべてのデータや情報、フィードバックなどの様々な要因を考慮に入れています。

これからも、フィードバックをお送りください。次のバランス考察は「YEAR 3: シーズン3」の開始時にお届けする予定です!

  • バトル開発チーム